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[ career-働き方 ]

学生時代の過ごし方2017(7)横浜銀行の濱田紗也加さん
「ふつうが一番いい」

学生時代の過ごし方2017(7) 横浜銀行の濱田紗也加さん「ふつうが一番いい」

 希望の会社や業界に入ってキャリアを積む20代の先輩が、自らの学生時代を振り返ります。千葉銀行、静岡銀行に続いて今回も、大手の地方銀行で働く行員の声を紹介します。人柄がにじみ出るエピソードを語ってくれたのは、横浜銀行の濱田紗也加さん(27)です。

――学生時代に打ち込んだことを教えてください。

濱田紗也加(はまだ・さやか)さん 慶応大学文学部卒、2013年横浜銀行入行。最初に配属された横浜市の綱島支店で5年目を迎えた。趣味は温泉巡りで、好物は横浜家系ラーメン。横浜市の社会人サークルでバドミントンを再開したばかり。

 「慶応義塾大学バドミントン同好会バードフェローズ(KBF)に所属しました。120人の大所帯で、男女の比率は半々でした。神奈川の高校時代にバドミントンを始めたのですが、けがをしたりして県大会の出場機会はありませんでした。悔しかったですね。一からやり直そうと、上手な人が多かったKBFを選びました。全体練習は週に2回。陰連(かげれん)と呼ばれる自主練習も率先して取り組みました」

 「毎年10人ほどの初心者が入ってきました。8人のサブキャプテンのうちの3人が面倒を見るのがサークルの決め事です。大学3年のとき、サブキャプテンの1人に選ばれ、初心者の世話係を担当しました。同じ初心者でも男子に比べて女子のショットの力は強くありません。10人のレベルもバラバラです。担当の男子部員2人と知恵を出し合い、オリジナルの練習メニューを作りました」

初心者の指導を担当、自分も上手くなった

――練習中に心がけたことはありますか。

バドミントンサークルの思い出は尽きない(最前列中央)

 「こちらから積極的に声をかけるようにしました。一緒に練習コートに入ろうか――と誘われるだけでも、初心者は十分嬉しいものです。バドミントンを始めた頃の自分がそうでした。周りは経験者ばかりだった高校時代の部活で自分が出来た事、出来なかった事を置き換えるようにしました。サークルの飲み会では初心者の誰かの隣に座るよう努めました。代々の初心者担当は親みたいな存在ですね」

 「初心者が相手だと、意味が分からない方向にシャトルが飛んできます。それを何とか拾って返そうと、こちらも頑張ります。初心者担当のサブキャプテン同士で練習メニューを教えるための練習もこなしました。そんなことを繰り返すうちに自分もまた、上手くなった気がします」

――人に教えることの難しさと面白さの両方を経験したわけですね。

 「仕事も一緒です。銀行に入って最初は個人渉外を担当しました。投資信託や保険による金融資産の運用や不動産の活用、相続に関するアドバイスなど総合的な金融コンサルティングの仕事です。お客のニーズを聞き出し、それに応じた商品やサービスを提案するわけですが、言ってみれば、自分が勉強したことを分かりやすく教えるということです。お客が気づいていないことを気づかせる、とも言えます。税金や法律などの知識がなければ、信頼を得られる提案はできません。1年前にファイナンシャルプランナー(FP)1級の資格を取りました。誰に言われるまでもなく、自宅で試験勉強を続けた成果が出ました」

 「現在は法人渉外の担当として50~60社の得意先を受け持っています。個人渉外を担当していた頃とは逆に、教えられることの方が多いですね。対応の不手際で怒られ、心をへし折られた経験もしました。金融のプロとして認めてもらえるには、まだまだ勉強が足りません」

数え切れないバイト経験、自分を変えた

――アルバイトの話も教えてください。

1年前にFP1級の資格を取得し、金融のプロを目指す

 「バイトが大好きでした。サークルの先輩の話を聞いて、面白そうだからと喫茶店で働いたのが初バイトです。2年間続けました。家庭教師も長かったです。2年間で10人ほど教えました。正月のバイトは地元の神社の巫女です。雑貨店の店員や展示イベントの警備員、塾の講師、インターネットのプロバイダー契約の営業......。長期、短期をおりまぜ、他にもいろいろ経験しました。友達の実家でミカン収穫のバイトなんてのもありました。割のいいバイトはスーパーでの試食販売員で、絶対に買わないと思っていた人たちが、私の実演トークに乗せられて買ってくれたときは気持ちよかったですね」

 「家庭教師先のお母さん方とは随分仲良くなりました。反抗期の息子さんの悩みを相談されてアドバイスしたり、かなり込み入った打ち明け話を聞かされたりと、思い出は尽きないですね。大人の手習いで英語の勉強を始めた主婦の教師役を引き受けたこともあります。喫茶店でテキストを広げ、宿題の丸付けをやりました。大人の人たちとのコミュニケーションを通じて、知らず知らずのうちに敬語の使い方を覚えました」

――営業の仕事の世界を一通り経験したようですね。

 「就職してからのことを意識したわけではありません。バイト先でいろいろな人に出会い、いろいろな話を聞きました。みんな意欲的で、いかに自分が体たらくであるのかを教えられました。バイト経験が成長のステップになると考えたわけです。品川や田町、横浜で乗り降りできる通学定期を持っていたので、バイト探しには不自由しませんでした」

 「就活を始めた当時、円高と円安の違いを説明できませんでしたし、日経平均の意味も分かりませんでした。経済の勉強は就職してからで構わないと考えていました。逆に、大学生のうちにしかできないことはいくらでもあるので、3年生になってトルコ語を勉強したりしました」

――これから社会に出る学生たちへのアドバイスをお願いします。

「得意先の社長から教えられることは多い」と話す

 「私には留学の経験がありません。ゼミの先生から素晴らしい卒論を書くよう、はっぱをかけられましたが、期待に応えられませんでした。サークルで目立った成績を残したわけでもありません。こんな私でも希望した横浜銀行に入ることができました。就活の面接でアピールできる成果を手に入れようと、頑張りすぎないでください。生きている中で何かやっていれば、必ず出会いがあります。その経験で得たものを大事にして、成長してほしいですね。どんな時も、ふつうであることが一番だと思っています」
(聞き手は山本啓一)

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