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昭和女子大学――
国際・キャリア、二枚看板、
女性の活躍、語学で後押し

昭和女子大学――国際・キャリア、二枚看板、女性の活躍、語学で後押し

 昭和女子大学が都心の女子大志望生の一つの選択肢という旧来のイメージを脱し、男女共学の総合大学との併願も珍しくない「選ばれる大学」となりつつある。2016年まで6年連続で実就職率が女子大でトップ(16年卒は94.3%)というキャリア教育とグローバル化への取り組みが変身の原動力だ。

 「良妻賢母教育の短大・大学という古いイメージからキャリア志向、グローバルに開かれた大学というイメージに劇的に変わった」。リクルート進学総研(東京・中央)の小林浩所長は昭和女子大の変貌ぶりに驚く。

 グローバル化の取り組みは30年間近い歴史がある。バブル真っ盛りの1988年に米マサチューセッツ州ボストンに海外キャンパスの「昭和ボストン」を設置した。年間延べ500人前後の学生が日本から学びに来る。

 食費などの滞在費が1学期(19週)で1万ドル(約110万円)近くかかるため、バブル崩壊後は「昭和女子大の国際系学科は費用が大変だ」と受験生や保護者から敬遠された時期もあった。だが「この10年でボストン校があるから昭和女子大はいいと前向きに評価されるようになった」と坂東真理子理事長は話す。

米留学が必須

昭和ボストンでは毎年500人前後の学生が学ぶ(同校の全景)

 グローバルとキャリア志向というイメージを象徴するのが2013年に新設したグローバルビジネス学部だ。今や志願倍率が10倍近くの人気学部に育った。「女子大でグローバル系学部は成功しないというジンクスを破った」と教育関係者も一目置く。

 グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科と国際学部(17年度新設)英語コミュニケーション学科の学生はボストン校への「留学」が必須。教員やスタッフは全て外国人。最低1学期は英語漬けの毎日を送る。学生が日本に帰国する頃には英語で思考することが身に付いているという。

 アジア系言語にも力を入れている。例えば、中国語の履修者には中国の上海交通大学と組んで2つの学位を取得できる「ダブルディグリープログラム」を用意するなど海外提携校を拡大。現在、上海交通大では19人の学生が学ぶ。

 文化、教養としての英語から、女性が社会に出る武器としての英語へ――。

 坂東理事長は学長に就任した07年から「良妻賢母を理想にした戦前の女性教育のビジネスモデルでは21世紀に女子大は生き残れない」と学内に意識改革を訴え続けた。卒業生がキャリアを磨き自立できるよう手助けすることをキャリア教育の根っこに置く。「武器として語学をビジネスに生かせるような道に多くの学生を進ませたい」と坂東理事長は言う。

 学生の中には4年間で英語能力テストのTOEICが200点台から850~900点に伸びた例もある。秘訣は、英語力のレベル別に教えるきめの細かい語学教育と、明確な目標設定だ。「本学には最初から飛び抜けて英語ができる学生は少ない。大学に入ってから鍛えて伸ばす。これが評価されている」と坂東理事長は話す。

資格取得念頭に

 受験生や保護者の興味を引く新たな仕掛け作りも怠りない。18年春の設置を目指して計画しているのがグローバルビジネス学部の「会計ファイナンス学科(仮称)」だ。卒業生の就職先は金融・サービス・情報系が多い。簿記などを学ばせ、卒業までに日本の日商簿記2級や米国公認会計士(USCPA)などの資格が取れる人材を育てることを狙っている。

 グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科には「情報ビジネスコース」を18年から設ける準備も進行中だ。技術革新が続くICT(情報通信技術)をテーマに英語による授業でほとんどを学べるカリキュラムを用意するという。

 「一つひとつは小さな取り組みだが、10年後に大きな幹になれば」と坂東理事長。キャリア教育とグローバル化の二枚看板を推進する戦略は当面揺るぎそうにない。

情報を積極発信、イメージ大転換

 昭和女子大がこの10年でブランドイメージを大きく変えられたのは、カリキュラム改革や新学部の効果だけによるものではない。教育・研究機関として女性問題に関し積極的に情報発信してきたことも大きい。

 学内には女性が自律的に活躍するための「女性文化」の創造と発展に寄与する目的で1986年に設立した「女性文化研究所」がある。官僚時代に内閣府男女共同参画局長を務めた坂東理事長は同大に教授として迎えられた2004年から所長を務め、同大の「顔」ともなっている。

 同研究所は男女共同参画社会や女性文化に関する研究を表彰する「女性文化研究賞」を設け各種研究書を刊行している。大学挙げての取り組みでは15年に米ハーバード大と国際的視野で女性の活躍を考えるシンポジウムを共同開催したのを皮切りに毎年シンポを開催。

 こうしたアカデミズムとしての地道な活動も同大のイメージアップにつながっているようだ。(木ノ内敏久)

 昭和女子大学 
 1920年に詩人の人見東明が創立した日本女子高等学院が前身。大学設置は学制改革後の1949年。人間文化、人間社会、生活科学、グローバルビジネス、国際(17年新設)の5学部と大学院2研究科を持つ。付属の認定こども園から大学院まで東京都世田谷区にあるキャンパスに集中する都心型大学。

[日経産業新聞 2017年4月17日付]

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