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日中間の誤解(4)私たちの挑戦!
3つのテーマで「中国を理解する」

authored by 日中学生会議 実行委員会
日中間の誤解(4) 私たちの挑戦!3つのテーマで「中国を理解する」

 こんにちは、第36回日中学生会議実行委員長の王航洋です。これから、私たち日中学生会議のメンバーが、「中国を理解する」という非常に困難に見える挑戦をする様子をお届けしたいと思っています。よろしくお願いします。

 さて、私たちは5月(顔合わせ合宿)・6月(中間合宿)と合宿を行いました。顔合わせ合宿では、8月に行われる本会議に向けてそれぞれの分科会(前回の記事参照)で何をテーマに議論をするのか、中間合宿では、顔合わせ合宿のときに決めたテーマを再検討し、論点の絞り込みなどを行いました。

左から2人目が筆者

 今回の記事では2回の合宿を通して、それぞれの分科会が何をテーマにし、どういう議論を本会議で行おうとしているのかを各分科会担当の実行委員に質問する形で紹介したいと思います。

メディア統制と愛国主義教育

 まずは、今年新たに設けられたメディア分科会の実行委員、文さんへの質問です。

 メディア分科会は「中国の夢」がメディアで言及されることの影響を考えていますね。

 はい。習近平政権は「中国の夢」を掲げて、アヘン戦争以来の屈辱の歴史を克服しようとしています。普段は外交の文脈から語られることの多い「中国の夢」ですが、中国国内では、国民にも大きな影響を及ぼしているのではないかと考えています。

 それはどのような影響ですか?

 中国のメディアは、政府の統制下にあります。政府はメディアに「中国の夢」を宣伝させることで、国民が愛国主義的なマインドをもつように仕向けているように思います。今後、中国で取材をされていた記者にお話を伺う機会があるので、どれほどメディア統制が行われているのかも聞いてみたいですね。

 なるほど。メディアによって愛国主義が高められることによって、日本にはどのような影響があるのでしょうか。

 愛国主義と「中国の夢」が一体化したとき、中国が領土的野心をもってしまうのではないかという懸念があります。尖閣諸島や南シナ海を巡って、中国がより強硬な姿勢に出る可能性があります。

 去年、私は中国人学生に愛国主義教育の影響を受けていると思うかどうか、と質問しましたが、彼らは愛国主義教育というものが行われているという自覚がありませんでした。

 本会議では、彼らが、そして私たちが当然と思っていたことに新たな気づきや視点をもたらせられたら、と思っています。

 頑張ってください。

北朝鮮問題の解決に向けて

 続いて、東アジア・安全保障分科会の立岡さんへの質問です。

 東アジア分科会は、今最も注目されている国際問題である、北朝鮮問題をテーマにしていますね。

立岡 はい。昨年に引き続き、東アジア・安全保障分科会は北朝鮮問題を取り上げます。昨年の参加者に聞いたところ、本会議では北朝鮮の脅威への認識の違いで議論が難航したようです。私たちは、北朝鮮問題の解決には中国の協力が不可欠だと思っているのですが、中国側がそのことを認識しているのか、本会議では聞いてみたいですね。

 私は去年中国大使館にフィールドワークに行ったとき、日本や米国は中国に北朝鮮への圧力をかけるよう要求してくるが、中国のできることは少ない、と外交官が話していたことが記憶に残っています。

立岡 日本も中国も、北朝鮮の非核化という最終目的では一致しているのですが、それを達成する方法を巡って相違があります。これは、北朝鮮問題に限らず、日中や米中の対立の多くに共通していることだと感じています。

 日本では北朝鮮問題を中国の協力がなければ進まない、という議論が多いですが、中国の協力を得るには日米はどういった行動をとればいいのかも具体的に議論できればいいですね。

立岡 そうですね。中国側の立場を踏まえた議論ができたらいいと思っています。

 中国人大学生と政治的な問題を議論する機会は、本当に限られているのでこの機会を大切にしたいですね。頑張ってください。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の役割は?

 最後に、経済分科会の浦道さんへの質問です。

 経済分科会は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)をテーマにしていますね。浦道さんは経済学部で、中国経済にも強い興味をもっていますが、AIIBをテーマに取り上げた理由は何ですか。

浦道 AIIBは、急増する新興国のインフラ投資に対応するために2014年に中国が立ち上げた機関ですが、その運営方法や中国の意図を巡って不明な点があります。中国側と、アジアの成長投資に真に貢献するにはどのような意識が必要なのかを議論できたらと思います。

 日本はアジア開発銀行を運営してきた経験がありますから、そのような経験も伝えられたらいいですね。一方で、AIIBは、国際金融機関での発言権を得られない中国の不満の反映であるという見方もあります。

浦道 そうですね。日本の経験を伝えることも重要ですが、これから益々影響力を強めていく中国の考えを知ることも重要だと考えています。中国が一国中心主義や独善的な行動に陥らないためには、中国側の意見を尊重する必要があるからです。

 自国の利益を代表する立場ではない学生ならではの柔軟な議論ができたらと思います。頑張ってください。

 各分科会が、現在日本で大きな話題となっている中国のニュースを取り上げて、本会議への準備を進めていることがわかりました。次回は、各分科会でフィールドワークにいった様子をお届けしたいと思っています。