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東京都市大学
――未来の街、学部超え研究、
環境充実へスピード改革

東京都市大学――未来の街、学部超え研究、環境充実へスピード改革

 東京都市大学が矢継ぎ早に教育改革を打ち出している。2009年に武蔵工業大学と東横学園女子短期大学が統合して誕生。15年に就任した三木千寿学長は「質の高い教育は充実した研究があってこそ」と、都市研究の環境づくりに力を入れる。20年の東京五輪・パラリンピックを前に各地で都市開発の機運が高まるなか、学部の枠を超えて研究を推進する。

 未来都市研究の拠点は工学部と知識工学部、大学院の一部の学生が通う世田谷キャンパス(東京・世田谷)に構える。東京都市大が目標とする「国際都市東京で存在感を示す有数の大学」の核の1つとなる施設だ。

 都市研究に取り組む大学は他にもあるが、三木学長は「学部同士で連携し、大学全体で研究を進めているのが特徴だ」と胸を張る。「未来都市研究の都市大」をテーマに、大きく5つの研究分野を設け、社会インフラの老朽化や高齢者が暮らしやすい街づくりといった分野ごとに複数の研究室が連携して取り組む。

生体情報を活用

全学の学際研究として都市研究に力を入れる

 研究分野の1つである「ヘルスケアサポート」は、街中を行き来する人間の生体情報などのデータを街づくりに生かす。例えば身に付けられるウエアラブルセンサーや街中に配置したセンサーが「のどが渇いた」「座って一休みしたい」といった生理的欲求を感知し、休憩スペースの情報を提示するような仕組みを考えている。

 この分野は集積化技術を扱う知識工学部の研究室や、都市プランナーの育成を目指す都市生活学部の研究室が共同で取り組む。各種センサーやネットワーク技術を活用した構想をまとめている段階。複数の研究室が持つデータや幅広い知見を寄せ合うことで、より大きな視点で都市の課題解決に当たれるとみる。

 最近は研究よりも教育に軸足を置く大学もあるが、「研究が充実しなければ教育の質は改善されない」と三木学長は言い切る。学内の研究支援に力を入れており、15年度からは今後の進展が見込まれる研究を対象に、研究費を加算して配分する仕組みを取り入れた。

 16年度から導入した「クオーター制」も研究に打ち込める環境づくりに一役買っている。もともと学生が留学しやすいように年間の授業期間を4つに区切る制度だが、三木学長は「先生も授業を受け持たない学期を1つ作って研究に打ち込んでほしい」と多面的な効果を期待する。

英語力引き上げ

都市のハード・ソフトの老朽化・高齢化に伴う課題に、各学部の研究チームが連携して取り組む

 世界でも先進的な研究テーマに取り組んでいくためには、学生の英語力を引き上げることも重要だ。15年度からオーストラリアのエディス・コーワン大学と提携し、留学プログラム「TAP」を導入。日本で英語を半年間みっちり勉強した後、現地に半年留学させる。

 工学部を主体とする東京都市大は理系の学生が多いため、導入当初は「希望者が集まるわけがないと言われた」(三木学長)。しかしフタを開けてみると、初年度は定員200人を上回る応募があった。16年度の応募は300人を超え、留学志望の生徒は年々増えている。

 学内では三木学長の就任後、「大学改革のスピード感が増した」との声が上がる。大学改革に熱心な私立大に補助金を弾む国の「私立大学等改革総合支援事業」では「産業界との連携」「グローバル化」など4タイプ全てに採択されている。全4タイプで採択されているのは全国の私立大・短大716校のうち9校のみだ。

 三木学長は今年が学長就任3年目で、1期目の最終年。自身では「就任時にやりたいと思っていたことの2割くらいしか達成していない」と厳しい評価を下す。学長主導の改革は今後加速しそうだ。

東京都市大学
 1929年に武蔵高等工科学校として創立し、学制改革に伴い49年に武蔵工業大学に昇格。2009年に東横学園女子短期大学と統合し、現在の校名に改称した。東京急行電鉄の創業者である五島慶太が創設した学校法人五島育英会が運営する。6学部あり、東京・世田谷や横浜市に3つの主要なキャンパスを抱える。学生数は昨年12月時点で6830人。

(潟山美穂)[日経産業新聞 2017年5月15日付]

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