内定者4人が明かす~ウワサの真偽、企業選び、内定辞退
就活生座談会2018(6)
6月1日の選考解禁から1カ月半が過ぎ、2018年3月卒業予定者の就職活動も終わりに近づいています。今年は就活スケジュールの変更もなく、学生、企業、大学に大きな混乱はありませんでした。学生が優位な売り手市場といわれた今年、就活生はどんな就職活動をしたのでしょうか。4人の内定者に集まってもらい、それぞれの就活について話してもらいました。2回にわたって紹介します。
Aさん(男性、私立大学文系、入社予定=政府系金融、その他内定先=総合商社、コンサル3社、IT、外資系情報)
Bさん(男性、私立大学文系、入社予定=総合商社、その他内定先=総合商社2社、電機、広告、投資会社)
Cさん(男性、私立大学文系、入社予定=物流、その他内定先=物流)
Dさん(女性、私立大学文系、入社予定=テレビ局)
就活のウワサは真実でないことが多い
――まず、就活を振り返って大変でしたか? 楽でしたか? また、就活をして気付いたことはありましたか?
Aさん 2月にどこもダメだったら行ってもいいと思っていた外資系コンサルから内定をもらっていたので、気持ち的には余裕を持って進めることができました。ただ、就活を始めたのが去年の8月後半だったので、3年夏のインターンに行かず出遅れた感がありました。就活前に「商社はOB訪問しないとダメ」「OBの評価で書類選考が決まる」といったウワサを聞いていましたが、友人はOB訪問で遅刻しても書類選考を通過しましたし、僕も内定をもらった商社のOB訪問は1人だけでした。ウワサはほとんど関係ないと思いました。他にも外コン(外資系コンサルティング会社)はインターンに行かないと内定をもらえないというウワサもありましたが、実際はインターン経由の内定は一部で、一般ルートからの内定者がかなりいました。
Bさん 就活は振り返ればあっという間でしたが、選考などのプロセスは時間がかかるし、私もウワサに振り回されることもあって大変でした。就活を終えて良かったと思うのは、自己分析を通して自分の強みや弱みを知ることができたことです。これまで自分についてこんなに考えたことはありませんでしたから。また、知らなかった業界のビジネスを知ることができたのも貴重な経験です。面接で掘られ(深く掘り下げて質問され)たり、今まで自分で考えたことのないところまで質問されたりして、話をしていく中で新たな自分に気付くことがあると思いました。
Cさん 私は3年4月から業界研究を始め、夏のインターンシップに出て、12月から本格的に始めました。大学受験に比べれば期間も短かったし就活本番に入ったらあっという間で、もうこんな時期か、という感じです。でも、途中は辛いことが多々ありました。最初は商社や政府系金融機関も見ていて説明会にも参加していたのですが、周りの学生のレベルが高く、次元の違う話をしている人たちの中で劣等感を感じてしまったことがありました。
Dさん私はテレビ局から総合職の内定をいただきました。アナウンサーも受けていたので選考は3年の7月ぐらいから始まりました。テレビ局は東京のキー局の選考があり、その後に地方局の選考と続くので1年ぐらい就活が続き、長かったなという印象です。ただ長いから辛いわけではなく、就活生でないと行けない場所に行くことができ、会えない人にも会えましたので楽しかった部分もあります。
就職先の決め方は"人"
――Dさん以外は複数の内定を持っていて、就活ではさまざまな業界を回っています。どうやって業界を絞り込み、最終的に就職先を決めたのでしょうか。
Bさん 商社3社と広告、電機、コンサルから内定をもらいました。もともとは商社だけを志望していたのですが、一通り他の業界も見てみようと就活を始め、各業界で入ってもいいと思える企業の選考を受けて内定をもらいました。最終的には商社3社から内定をもらい、入社予定企業に決めた理由は、その会社に自分がいることを想像できたことです。OB訪問などで会った人の印象から、その会社が一番フラットで自由な感じがしました。
Aさん 僕は2つの軸を持って企業を見ていました。1つは実家がモノ作りの会社を経営しているので良い製品を多くの人に広めたいという思いから総合商社、専門商社を見ていました。もう1つは親が経営者なので、経営に近いところで働きたいという気持ちもあってコンサルや銀行を見ていました。最終的にどっちか決められず選考も受けていたのですが、まず商社はお酒が飲めないということと、希望の部署に行けない可能性があるという理由でやめました。最後は投資銀行と政府系金融機関が残ったのですが、投資銀行は面接担当者全員が「給料がいいよ」というお金の話しかせず、政府系は「日本のため」「企業のため」という話をしていました。やはり尊敬できる人と働きたいと思い、政府系金融機関に決めました。
Cさん 私はマレーシアに10年ほど住んでいたことがあるので、就活の軸は海外で働けるです。最初は商社、金融を見て、海外での事業展開や海外駐在員数などを調べていましたが、実際に説明会に行ってみると、働いている自分の姿をイメージできませんでした。そこで、他をいろいろ調べてたどり着いたのが物流でした。物流2社から内定をいただきましたが、1社は倉庫で、1社は貨物輸送です。倉庫の方は貨物輸送もやっていて業務内容が広いことと、多くの業界との接点があるので倉庫を選びました。
オワハラはほとんどない
――みなさん、オワハラはありましたか?
Bさん 企業の対応は「今すぐ他社の選考を辞退しないと内定は出しません」という姿勢と、「悔いなく就活をし納得して来てください」という姿勢に分かれました。内定6社のうち、前者が4社、後者が入社する企業を含む2社でした。前者の企業の場合には「他社を辞退しますか?」と聞かれ、「はい」と言えば、「合格」という感じです。後者の企業は無理に来させて3年以内で辞められるほうを避けたいのだと思います。辞退する時には電話で「お会いしてお話しします」と連絡を入れて、何社かは直接会って入社先と辞退の理由を伝えました。対応が厳しかったのは商社の1つで、内定直後に研修が組まれているなど、拘束がきつそうという印象があります。
Cさん入社した企業は「うちに来てくれますか?」と質問されて「はい」と言えば内々定で、言葉を濁すと落とされるという話を聞いていましたので、「はい」と答えました。その時には他にも何社か最終が残っていたのですが、催促に負けてしまいました(笑)。もう1社は入社先の企業の選考があったので「1週間待ってもらえますか?」と聞いたら、「1週間でも、2週間でも待ちます」と。結局、断りの連絡を入れた時にも「そちらの企業で頑張ってください」と言ってもらいました。
Aさん オワハラではありませんが、2月に内定をもらった会社は「1カ月以内に決めてください」と言われました。入社を決めた会社は「内定を出そうと思いますが、受けてくれますか?」と聞かれ「もう少し受けたい」と伝えると、「では1週間待ちます」と。1週間のうちに商社の結果が出たので内定を辞退しました。特に引き止めはありませんでした。
Dさん 私の内定先は何も言いません。放置されています。4月に内定が出てからテレビ以外を受けた時期もあったのですが、それも伝えていましたし、キー局の夏採用を受けようと思っていることも伝えていますが、「納得して入って来てくれればいいから、ご自由にどうぞ」みたいな感じです。ただ、1カ月に1回ぐらいのペースで研修や懇親会などはあります。
次回は就活のインターンや企業研究の仕方、選考試験対策などです。
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