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career-働き方

歌う看護師(12)またいつかどこかで…必ず。したっけね

歌う看護師(12) またいつかどこかで…必ず。したっけね
authored by 瀬川あやか看護師、シンガーソングライター

 どうも、「歌う看護師」瀬川あやかです。昨年の12月から月1ペースで更新させていただいていた本連載も今回で12回目を迎えることが出来ました。ちょうど1年。(第1回はまだツインテールをしていたのが懐かしい)タイミングというか何というか、節目というか何というか......「歌う看護師」の連載は今回が最後となります。なので第12回は総集編。今までの連載を振り返り、1年前の自分と今の自分を比べながら新しい話ができたらいいなと思っておりますので、どうぞ最後の最後までお付き合いくださいませ。

今回が最後です

 まず「歌う看護師」という連載タイトルになったのは私が看護師をしながらシンガーソングライターとしても活動をしているからで、そこは1年前と全く変わっていません。「もうやめた?」とか「さすがにやってないでしょ?」と聞かれたりもしますが、最初に就職したところと同じ病院に今もお世話になっています。

 看護師をしながら歌手活動をすること。小さい頃はまさかこのような素晴らしい未来が用意されているとは思ってもいませんでした。「歌手」も「看護師」も自分が憧れていた職業で、今ではそれぞれの領域でお仕事について話し合える仲間ができました。支えてくれるスタッフさんにもたくさん出会うことができました。そんな今の自分の状況を改めて考えると「人生どこでどうなるかわからないな」と不思議に思う気持ちと感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。

なぜ2足のわらじになったのか?

 ただ、この連載では私がどうしてこのような2足のわらじと言われるような働き方をすることができたのかをお話していく予定でしたが、この期に及んで、考えれば考えるほどその答えは自分が一番よくわかっていなかったりします。「人生は出会いがすべて」と言わせていただいた回もあったように、私はいつも出会いや人の繋がりを大切にしていきたいと思っています。しかし、実際「じゃあどのように?」と聞かれれば自信を持って「こんなふうに!」と答えられる要素は恥ずかしながら一つもありません。いつも人や縁に恵まれた環境にいて、私はひたすら感謝するだけ。私はいったい何年経ったらお世話になった人たちに恩返しすることができるのでしょうか。時間の進む今でさえ、お世話ポイントが加算されているというのに。

 誰かが生きたかった場所に私は生きている。自分がずっと目指してきたゴール地点に立って初めて思ったことは「ゴールはスタートである」ということでした。キラキラしていた夢をやっと手にできたとしても、近くでみると意外とくすんでいたりして、好きなことを職業にするというのは好きだからこそイメージと現実とのギャップに衝撃を受けることもしばしばありました。難しさとね。人生そんなに甘くはないと思っていたけど本当に甘くない!笑

午前中は看護師、午後はシンガーソングライターという活動スタイルはこれからも続けていきます

悔しい気持ちを思い出して

 一度「瀬川あやかは天才じゃない。天才じゃない人にできることがただ一つだけある、それは努力をすることだよ」と、ある人に言われたことがあります。言われた瞬間、悔しすぎてその人の前で泣きだしてしまったのを覚えています。「努力って何? 何をすれば認めてもらえるの? 過程なんか見てないくせに」と正直思っていましたね。本当に悔しかった。

 でも、今はあんなふうに言ってくれる人がいたということが、とてもありがたいことだったのだと思うことができます。それは自分への期待の言葉であったし、私のことを想ってのことだったと思うから。実際、その人に褒めてもらえるよう必死に練習や勉強したことは事実で、今でもふとした瞬間にあの時の悔しかった気持ちを思い出しては「やるそー!」と気合いを入れてます。

 やはり人の話はきちんと聞くべきですね。だんだんいろんなことに慣れてきて、自分なりに「もっとこうしていきたい」という願望が出始めてきましたが、そこで全てを知った気になってはいけません。私はこう見えてすぐ調子に乗ってしまうところもあるので、「わかってるよ」と思ってしまう"ブラックあやか"が時たま顔を出します。人も状況も変化していくものだけど「変わったね」と言われるのは何でこんなにも悲しく辛いのでしょうか。変わり続けていく世界で変わらないものを探していく。これからもずっとそう。でも変わることってそんなに悪いことじゃないと思うのです。少し抽象的すぎる話になってきましたが、つまりは変化した自分も愛していいんだということです。毎日生まれの自分を認めてあげながらも、周りの人の話をきちんと聞いて一つ一つ冷静に噛み砕いて吸収していく。そんなふうに経験値や判断力をあげ、もっと変化していけたらいいなと思っています。

 午前中は看護師、午後はシンガーソングライターという活動スタイルはこれからも続けていきたいと思っています。本音を言えば、どっちかに絞らなくてはならないくらい忙しくなりたいという気持ちがないわけでもないですが......。それでも、音楽と看護の相互作用の魅力と可能性を信じられている間は絶対に続けていきます。ネガティブな考えもそれをバネにしてポジティブに、いつか47都道府県を医療者として届ける歌でたくさんの人の力になっていけたら幸せです。そうしていく中で私は「謙虚」・「堅実」・「献身」・「健康」という4つの「けん」を大切にしていきたいです。それぞれがなかなか尊い言葉たちですが、意味以上に意味を持たせられるよう行動できたら素敵ですね。

本当にありがとうござました

 ここまで12回、出会ってくださった読者の皆さま、またこのようなきっかけを与えてくださった日経カレッジカフェのスタッフの皆さま、未熟な私の拙い文章にお付き合いくださいまして本当にありがとうござました。連載を通して私も自分自身と向き合うことができ、新たな発見をすることがしばしばありました。これからも言葉を大切に人を愛してがんばっていこうと思います。次は目と目を合わせながらいろんな話ができますように。どなた様もお元気で。またいつかどこかで...必ず。したっけね。

「したっけね」は北海道の方言で、「それではまたね」「バイバイ」という意味です