"暮らす"ことを考える~MORIUMIUSで経験できること
これからの女子キャリと生き方(31)
東日本大震災から早7年が経とうとしています。3.11を前に、宮城県石巻市雄勝町にある「MORIUMIUS」という、子ども向け複合体験施設を訪れました。
未来の明るい兆し"MORIUMIUS"
石巻駅から車で1時間ほど。途中には、津波で多くの先生・児童が犠牲になった大川小学校をはじめとして、震災の傷跡が依然として残っています。7mに及ぶ防潮堤の建設も進み、復興への道のりによって壊れていくものがあることも、強く感じさせられる場所です。
MORIUMIUSは、そんな心揺さぶられる沿岸部を過ぎ、さらに山の上に上がっていったところにある、未来の明るい兆しにあふれた施設です。
モリウミアスは、こどもたちの好奇心と探究心を刺激する複合体験施設です。暮らしと自然が共存する環境を学び、それを活かしたアクティビティや多種多様な交流を通じて、たくましく生きていく力が湧いてくる。こどもたちが自然と向き合って多くのことを学ぶように、街を訪れる人たちとの交流は雄勝町がより豊かに育ってゆくためのきっかけにもなります。こどもたちと地域の明日をつくるために、モリウミアスは新しい出会いを生み出していきます。
(MORIUMIUSホームページより)
冬期は寒さのためお休みになりますが、春から夏にかけて多くの子ども達で賑わいます。地元石巻だけではなく、全国各地から集まった子ども達が、豊かな暮らしを体験します。子ども達が少ない時期は大人向けの研修施設としても、活用されています。
今回は1泊2日で、MORIUMIUSでの生活を体験させていただきました。
食べ物のルーツを体感
まずは施設見学から。広大な土地の中では、ヤギや鶏をはじめとした、たくさんの動物が一緒に暮らしています。
写真の豚たちは、一定程度まで大きくなった後、MORIUMIUSでいただくご飯へと姿を変えていきます。私たちが命をいただいているということを、改めて実感させられる瞬間です。
そして、今回は特別に味噌作りを体験させていただきました。壊れた階段を直したり、露天風呂を作ったり、訪れた人たちはみんなMORIUMIUSを支えるお手伝いができるのです。今回は毎年恒例の味噌作りのお手伝い。味噌が大豆からできていることは知っていても、詳しい作り方って実はよく知らないという方が多いのではないでしょうか。
潰してペースト状にした大豆と米麹、そして塩を混ぜて寝かせていきます。体験では、朝5時から煮込んでいただいた大豆を、引き上げることから体験が始まりました。ほかほかの大豆からは、あたたかい匂いが漂います。
味噌作りの途中では、地元の皆さんが登場。20年ほど前までは、みなさんもこんな風に自分たちでお味噌を作っていらっしゃったそうです。プロのアドバイスをいただき、混ぜ合わせた味噌のもとを、樽にいれていきます。完成は1年後。それまでじっくり寝かせます。
当たり前に食べているお味噌ですが、とっても手間のかかったものだと知り、美味しさもありがたみも格段に増していきました。
丁寧に"暮らす"ことと向き合う
MORIUMIUSでは、先ほどの豚をはじめとした、美味しいお料理もいただくことができます。夜ご飯で残った大根の煮物は、朝には唐揚げになって出てきたりします。残さず食べきる生活の知恵を体験できます。
普段、都会で暮らしていると、この食べ物がいったいどこからきて、どんな風に作られたかということを意識する機会は少ないのではと思います。一つひとつの食べ物のルーツを感じ、最後まで大切にいただくという、シンプルでとても大事なことを見つめ直すことができました。
MORIUMIUSは、普段意識しない「暮らす」ということを、とても丁寧に再認識できる、そんな施設です。大人も子どもも、改めて大事なものを思い出しに、ぜひ訪れてみてください。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。