アサヒビールの田代遼太さん「違った環境の人と出会い、友人になろう」
卒業までにやっておくこと2017(9)
来春に就職を控えた大学生の皆さんに、先輩からのメッセージをお届けします。残された学生生活を有意義に過ごすために、「卒業までにやっておくこと」の今回は、アサヒビール入社2年目で元気いっぱいの営業マン、田代遼太さん(25)です。
三浦半島をひとりで担当、飲食店を駆け回る
――営業職ということですが、具体的なお仕事の内容について聞かせてください。
「アサヒビールの横浜統括支社西支店に所属し、飲食店向けなど業務用の営業をしています。担当エリアは横須賀市を中心とした三浦半島で、ひとりで全域を回ります。簡単に1日の動きを紹介しましょうか。まず、朝8時頃に出社して内勤の業務をこなし、そこから担当エリアに出かけます。まず、業務用酒販店3、4店を回って新商品の案内とか営業施策の紹介をします。我々にとってはエリア内の他メーカーと取引がある飲食店をどう狙っていくかが重要なので、市場の情報収集も大事ですね。直接、飲食店と交渉するとトラブルになることもあるので、酒販店や問屋とはしっかり話をします」
――飲食店回りはその後ですか。
「午後2時から4時ごろ、飲食店がちょうど仕込みの時間に回ります。手の空いた時間にアサヒビールのお得意様の店には縁を切らさないようにキャンペーンを紹介したり、他メーカー系の店には自分や商品を売り込んで少しでも取ってもらうよう働きかけたりします。門前払いされることもありますよ。でも、そういった店に2、3回通うと可愛がってもらえるようになることもあり、快くお付き合いさせてもらえるケースもあります。一番多く通ったのは20回くらいかな。20年以上、他社と取引されていた店ですが、ご主人が入店する時刻を待ち受けたり、風邪ひかれたときに栄養ドリンクを差し入れたりして、なんとか切り替えていただきました。とてもうれしかったです」
――そうなると、夜も飲食店を回ることになる?
「店の『視察』という名目で、飲みながら店の大将と一対一で話すことはあります。だから体力はある程度必要ですね。ビール会社の営業は体育会系の職場です。実際、同期の7割近くは大学で運動をやっていました。私も中学から大学までテニスを続けていました」
コミュニケーションを取るのが好きで営業に
――そもそもなぜビール会社の営業職を希望したのですか。
「学生時代に羽田空港内の外国人客の多い飲食店で長くアルバイトしていたこともあり、コミュニケーションを取ることが好きだったからですね。就活の時も営業しか考えなかった。お酒は好きだったので漠然とビール会社は考えていましたが、決め手になったのは留学していた米国のサンディエゴで、いろんな国の人と飲む機会があったことです。パブではヨーロッパからの人はみんな自国のビールを自慢する。でも、私が好きだった『スーパードライ』はどの店にも置いてなかった。だったら、自分の力で世界にその名を広めてやると思いました」
――将来は海外勤務希望ですか。
「海外志向はありますが、いまは国内で営業マンとしての地力を付けたいです。例えば首都圏の代表的な居酒屋チェーンの本部担当などをやってみたい。足を使う泥臭いスタイルも大事ですが、販売データを使った実戦的な商圏分析や人材・店舗物件のフォローといった提案力で勝負したいと思います。30代になったらそうした仕事をしたいですね」
入社まではハワイで3カ月過ごした
――内定が出た後はどう過ごしましたか。
「ハワイへサーフィンをしに3ヵ月間行っていました。仕事を始めると行けないですからね。シェアハウスでヨーロッパや韓国の人たちと暮らしました。いろいろな話ができてためになりました。サーフィンは今も週に1回、千葉の海に行っています」
――大学4年生に、卒業までにやっておいたらいいと思うことがあれば教えてください。
「自分と環境の違う様々な人と会って話をして、仲良くなることをお勧めします。会社に入ると当然、仕事中心の生活になり、付き合いも仕事関係の人が多くなりますよね。だから、今のうちに違う業界に進むような人とも友人になったほうがいい。海外で違う世界に触れることでも、得るものは多いと思います。また、直接今後の業務に関係がなくても英語はやっておいたほうがいいですね」
(聞き手は若林宏)
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