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内定ラッシュで悩む学生 どうする?内定辞退

ホンネの就活ツッコミ論(13)

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NIKKEI STYLE

今回のテーマは「内定辞退」です。空前の売り手市場から内定を複数持つ学生が今年も多い、と予想されます。当然ながら入社先は1社のみ。複数の内定を得た学生は内定辞退をどうするか、悩みます。学生がよく悩むのが「内定辞退をしたら、脅されるのではないか」「損害賠償を請求されたらどうしよう」というものです。

まず、後者、損害賠償の是非から言えば、可能性としては限りなく低いといえます。内定辞退で学生に損害賠償を請求できる可能性がわずかながらあるのは、内定承諾書とは別に研修(それも海外研修など高額、かつ、その研修を受けないと就業が難しいもの)に関する契約書を交わすなど特殊な事例のみです。

基本的には、日本国憲法22条1項(「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」)、民法627条1項(「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」)が適用されます。

学生側の内定辞退理由があいまいだった、何となく嫌だった、というものであっても、問題ありません。なお、内定承諾書や大学の推薦書などは法的拘束力がなく、提出後の内定辞退も有効となる可能性は高いです。一方、内定辞退の逆、内定取り消しとなると学生は労働者に準じる立場、ということで内定取り消しが違法である可能性が高くなります。採用担当者からすれば「そんな勝手な」と憤るところですが、ま、そういうものです。

よく言われるコーヒーぶっかけ、ナビ退会

ここ数年の売り手市場とともに注目されるのが、内定辞退、そして、内定辞退に対しての威圧的な態度で撤回を迫る、いわゆるオワハラです。オワハラとは「就活を終われ・ハラスメント」の略。よく言われるのが、「内定を欲しければその場で他社の選考と内定を辞退しろ、と言われた」というものです。それから、「就職ナビサイトを退会するように」という事例もありました。退会すると言ってごまかす、あるいは、その場で退会してあとで再登録を、という学生もいるでしょうが、そんな単純ではありません。就職ナビは学生が退会したかどうか、利用企業であればすぐ分かります。

よく言われるのが他に、「内定辞退に行ったら、洗濯代と1万円渡された後、コーヒーをかけられた」。これ、バブル期から言われ続けている話で、今なら傷害罪にあたるところ。その前に、SNSが炎上しそうです。就職ナビ退会にしても、コーヒーぶっかけにしても、頭のいい採用担当者ならまずしません。

例年よりオワハラ弱まる? 世代間格差も

一時、オワハラ批判が相次いだこともあり、2016年ごろからオワハラは減りつつあります。文部科学省調査(「就職・採用活動時期の変更に関する調査」)によると、2015年は45.1%の大学が「学生からの相談を受けた」と回答。それが2016年には、40.0%に減少しました。そもそも自由回答を見ていくと、どこからどこまでオワハラか、疑問の回答もあります。

「内々定と引き換えに他社への就職活動をやめるように強要された」。これはオワハラそのものですが、「月に1回、内定者イベントがある」というあたりは、オワハラかどうか疑問です。「内定承諾書とともに入社誓約書の回答を2週間で提出するように求められた」「4月に内定した会社に対し8月まで活動を続けたいと伝えたところ、とてもいやな顔をされ、5月中には入社するかどうか決めろと言われた」。この回答は世代間格差を示しています。

就職氷河期だと、内定承諾の是非について待っても3日程度という話はよくありました。2週間ないし1カ月待つのがいいところ、と考える採用担当者は多いようです。それが就活時期の変更などによって、学生側は「数カ月待ってもらうのは当たり前」と考えるようになりました。今までそこまで待ったことがない採用担当者からすれば嫌な顔をするのも当たり前です。ただ、就活の時期変更から3年目、さすがに採用担当者も慣れたようです。

内定辞退は昔からあった

内定辞退は何も今の学生に特有の話ではありません。1921年(大正10年)には、住友本社(現・住友商事)が重役参加の懇親会で内定者答礼挨拶をした学生に辞退される、という騒動がありました。その学生は興業銀行(現・みずほ銀行)に入行、のちの東京都民銀行頭取となります。

「食い逃げ第一号」(『日本就職史』)を輩出した金融業界は、その後も何かにつけ、内定辞退についてはトラブルが出てしまいます。先ほどあげた「コーヒーぶっかけ」事件を起こしたのは某証券会社と言われています。ここまで古くなくても「銀行を内定辞退したら、呼び出され1時間近く説教された。あきらめた後、『今後はうちの銀行に預金してよね』と言われたが絶対に預金しない」などのエピソードは就職氷河期からありました。

相談相手は複数で

内定先はどこがいいか、悩む学生は当然ながら大学や親に相談します。悩むときに相談するのは当然です。ただし、その際、できるだけ複数に聞くことをお勧めします。というのも、まず親世代からすれば、新興の業界・企業への理解が不十分であるため、古い企業を勧めたがります。

一方、大学はアドバイザーによって大企業志向だったり、地元志向だったり、ベンチャー志向だったりと分かれます。悩むようであれば、内定先の採用担当者に断り、OB訪問(OBがいなければ、適当な先輩社員)を依頼してみるのも手です。採用担当者からすれば、より深く理解してくれた方がいいので、内定者のOB・先輩訪問は積極的に紹介する企業が大半です。

内定者懇親会・研修でも将来がわかる

これまでに様々な内定学生を取材しましたが、企業の規模で決める学生もいました。多かったのは、やはり、「人」、それから「社風」です。「企業の規模が他社より大きいか小さいか、よりも、この社なら、と思えるかどうか。就活の序盤では重視していなかった社風を内定後は相当見た」「一緒に働けるかどうか、じっくり考えました」などと答える内定学生が大半でした。

そのきっかけとなったのが、意外なところでは、内定者懇親会や内定者研修です。内定者懇親会や研修であれば、参加者は内定学生ばかり。つまり、入社後は一緒に働く同期となる可能性が高い学生、ということになります。そこで一緒に働けそうと感じるかどうか。あまりにも合わなさそうと考えれば辞退した方がいいかもしれません。

迷ってもいいが、早い時期に結論を

採用担当者も、迷っている学生には、あえて役員クラスと引き合わせる、あるいはOB・先輩社員を引き合わせるなど、様々なアクションを取ります。ただし、あまり迷うようだと、「そこまで迷うのであれば、入社してからも様々な判断が遅いかもしれない。だったら、無理に入社してもらわなくてもいい。それよりは辞退させて、欠員補充に動いた方が話は早い」と考えるようになります。

場合によっては、やんわりと内定辞退をするように仕向けます。「うちとしては来てほしい。だけど、君が迷うということはうちよりも大きなステージで働いた方がいいのかもしれないね」とか、何とか。学生からすれば、どの会社の内定を受けるかは大きな人生の転機となります。迷うのも無理はありません。

様々な人に相談して、どこかのタイミングで決断するしかないでしょう。一時的には回り道になるかもしれませんが、それはそのとき。回り道になってよかったと自分が頑張ればいいだけの話です。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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