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歌う看護師(7)3枚目のシングルで初の書き下ろし!

瀬川あやか authored by 瀬川あやか看護師、シンガーソングライター
歌う看護師(7) 3枚目のシングルで初の書き下ろし!

 パッとしない天気が続いたかと思いきや、急にじんわり蒸しっと暑くなる今日この頃。「梅雨」のない地元北海道が恋しくなる季節です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。私は今、都内某カフェにてこの原稿を書いています。お店のクーラー直撃型テーブル。先ほどまで「暑い暑い」としかめっ面をしていたのに、すでに「寒いよ~」と首の後ろのあたりが震えています。なんてわがままなんだ。

誰かのgoodは誰かのbadかも

 最近、誰かのgoodは誰かのbadかもしれないと思うことが多々あります。当たり前だけど、このクーラー事情も一番近い人と一番遠い人では感じていることは全く違う。そう感じたきっかけは台風の接近。ある日の日本列島の天気分布図を見ながら、この天気予報ひとつにどれだけの感情が揺れ動かされたのだろうかと考えたことから始まりました。大事な仕事を台風にあやうく飛ばされてしまいそうになっていた私は、運よく晴れそうな東京の天気を見て「やったー!」と喜んでいました。反対に、見えない場所で困っている人はたくさんいるんだよなあと思ったのです。

 これは一見普通のことのように思えますし、だからどうだという意見を述べたいわけでもありませんが、例えば電車の座席に座れてgoodな時、何かの勝負に勝ってgoodな時、自分に起こるすべてのgoodな事象はbadな気持ちを抱える誰かの存在の上で成り立っていることかもしれないと思うことで、身の回りの様々なことをより尊ぶことができるのではと考えたのでした。

 この話をする中で高校の頃、テストの順位が低かった友達の「誰かを輝かせるためにこの点数をとった」という言葉を思い出しました。友達のギャグセンスは大好きですがおそらくそうゆうことではないので紹介まで(笑)心に余裕を持った人になりたいよという話でした。

 さて、今回は4分の1強が前置きでした。(書いてびっくり)「歌う看護師」では連載6回分の中で瀬川あやかの人となりからデビュー1周年までを紹介させていただきました。第7回からは時間がグッと「今」に近づきます。過去の印象に残っている話は引き続きしていきたいと思っておりますが、最近の「歌う看護師」瀬川あやかとしての考えや出来事を今後はこんなふうに盛り込みながら連載していければいいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

8月に3枚目のシングルをリリース

 「歌う看護師」2年目を走る瀬川あやか。スタート早々には3枚目のシングルリリースの発表がありました。2016年6月にデビューシングル「夢日和」、同年10月には2枚目のシングル「恋の知らせ」、2017年3月にはファーストアルバム「SegaWanderful」をリリースさせていただき、続く3枚目のシングルは8月リリース予定です。タイトルは「どんなに.../Have a good day!」の両A面シングル。リリース・タイアップ情報等の詳細は公式HPなどでご確認いただければと思いますので、ここではニューシングル製作期間のお話をさせていただきます。

 今回リリースする「どんなに...」と「Have a good day!」は双方とも初めての書き下ろしに挑戦しています。しかも、今まで音源化されている楽曲はすべてデビュー前に書いたものだったので、この2曲は「デビュー後に書いて初めて音源化される楽曲」ということになるのです。そういった意味でも大切な2曲。

 「書き下ろしをする」というのはシンガーソングライターとして何とも嬉しいお仕事で、同時に不安と葛藤とが大きく入り混じる挑戦でもありました。書き下ろしである以上、依頼主の想いを最大限受けとめ理解し、書き下ろす対象の良さを十二分に引き立たせ、あるいは引き出せるような楽曲でなくてはならないため、普段の楽曲制作よりも難しく感じることが多かったように思います。

誠意と責任を持って向き合って作った曲

 「産みの苦しみ」というかっこいい言葉を使って、ゼロから1を作り出すことの辛さを表現させていただきます。製作期間中なかなかOKが出ず「自分には書けない」「才能がない」とスランプに陥ってしまったことがありました。家やスタジオに閉じこもり、1日かかって思いついたワンフレーズも次の日には別のもの。気にいるものができあがらず、何度も録音しては消して、楽譜に書いては消してを繰り返していました。「私でなくてもいいのでは」と思ってしまうほど落ち込んでいきました。

 しかし、今、目の前にあるこのお仕事は誰にでも与えられるものではありません。私を信じて依頼してくださった相手のスタッフの皆さんの想いを無駄にはできないし、対象のファンであり、もしかしたら同じことをしたかったミュージシャンの方がたくさんいるかもしれない中で諦めることはできませんでした。

 というより、「諦める」という選択肢は初めからなかったにせよ、弱く脆い自分に負けるものかと思ったのです。ダメなら何度でも書けばいい、伝わらないなら伝わるよう努力し、相手の考えがわからないならわかるまで追求すればいい。誠意と責任を持って向き合うこと。それが今私にできることで私にしかできないことだと強く思ったのでした。

 そんなふうにできあがった3枚目のシングル「どんなに.../Have a good day!」は他にもたくさんのせがあやスタッフの皆さんの支えと力をいただきながら、最高に最高な1枚へと成長していきました。誰かがいたかった場所に立ち、誰かが願った今日を生きていることはこれからも心に置いていきます。この1枚を通して学んだことを胸にまたたくさんの出会いがあるのだと思うと楽しみでなりません。

 首の後ろだけでなく身体まで寒くなってきたので今回はこのへんで失礼いたします。最後まで読んでいただきありがとうございました。私が席から離れると涼しさを求める違う誰かがきっとこの席を求めてやってくるでしょう。なんてことない話ですが、なんてことない日常からも発見することはたくさんあるのですね。